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【レポート】MWC上海へ行ってきました!

2019.07.23

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こんにちは。
入梅したのも束の間、もうすぐ梅雨が明けるそうです。皆さま元気にお過ごしでしょうか?
7月も半ばを過ぎて、まもなく夏本番です。

先月、6月26日から28日、羽田から2時間強、上海で開催されたMWC上海を視察してきました。今回はその内容をレポートします!

 

■「5G is ON」

毎年2月、バルセロナで開催される「MWC」は、世界最大規模の移動体通信関連展示会、つまり、私たちの明日の生活を形作る技術潮流が一堂に会するにぎやかな見本市です。そのアジア版が「MWC上海」です。
(アメリカ大陸版もあり、こちらはMWC LosAngelesで、10月に開催されます)

中国を中心とするアジア市場をターゲットに、今年は550社が出展しました。テーマは「智聯万物 (Intelligent connectivity)」。これは、「智がすべてのモノを連ねる」といった意味で、日本では2019年サービスインと謳われる5G通信、それから5Gを活用した新しい社会の仕組みであるIoTが展示されていました。

7つの会場にまたがる広大な敷地の中で、一際大きなブースを出していたのは、この1年ほどちらほらニュースでも話題になる華為技術です。「5G is ON」と掲げ、5Gのアーキテクチャを構成する製品群を出展していました。「5G is Ready」ではなく、「5G is ON」。
また、同じ通信機器メーカでは、フィンランドのNokiaとフランスの旧アルカテル・ルーセント中国拠点である上海ベルとの統合会社、Nokia上海ベルが、スマート工場に特化した意匠に富むブースを出していました。スウェーデンのEricssonは、華為技術に負けない大きな区画で、キャッチコピーは「The quest for easy」。こちらも、「challenge」でなく「quest」というところへ、社会の期待を背負うメーカのプライドのようなものを感じました。

 

■ 5GとIoT (1)

550の出展社の構成は、体感的には、

チャイナモバイルやチャイナテレコムといった大手通信事業者、また、華為技術やEricsson、クアルコム、ZTE、Nokia上海ベルといった大手通信関連メーカは、大きく煌びやかなブースで①のプレゼンテーションを行い、その他メーカ、ソフトハウス、システムインテグレータ、総合商社といった企業群が独自の技術を結集した②-④を展示する。そういった景色でした。

ここで、簡単に5GとIoTについておさらいします。
移動体通信は、アナログ無線技術を用いて電話を持ち運べるようになった第1世代 (1st Generation=1G) からはじまり、2Gではそのデジタル化と共に、データ通信 (Eメールの送受信など) が容易となりました。
20世紀末には、移動体通信端末によるデータ通信の活用領域をさらに拡げるべく、通信速度高速化。3Gがリリースされ、はじめて世界標準が定められました。これにより、各国ローカルで使われる端末が世界中で使用できるようになりました。
進化・普及するインターネットの風を受け、現在のかたちの「スマートフォン」が登場。まだ記憶に新しい4Gでは、移動体通信端末によるインターネット活用を目的にさらに高速化。来る5Gでは、さらにさらに高速化・・・と共に、①超低遅延、②多数同時接続という新しい技術要件が付与されています。

家の外で自由に電話できるようになった! からはじまり、データ通信、インターネット活用、スマートフォンの登場と適用範囲を拡げる中で、上記2つの要件には社会へのIoT実装というミッションが背景にあります。

 

■ 5GとIoT (2)

IoTは「Internet of Things」で、よく「モノのインターネット」と翻訳されます。最近では拡張された概念として、IoE (Internet of Everything) や、IoA (Internet of Anything) といった言葉もあり、厳密には区分して使われるようですが、ここではそれらを統一してIoTと呼びます。

「モノのインターネット」といっても、日本語として意味が通じづらい。端的には、あらゆるモノ=物理的な物、白物家電とか、自動車とか、エンピツとか、食券販売機とか、そういったものがどんどんインターネットへ接続される、そういう意味かと思います。
モノがインターネットに接続されると何がよいかと言えば、その接続されたモノが、自身の所持する情報をインターネットへ上げられる。また、インターネットから情報をダウンロードできる、という点です。
これまでは、モノとモノとの間には常に人間がいました。たとえば、湿気がすごいから、空調機に向けて25度設定の除湿機能をオンにする。このように、人間がモノへインプットして、モノを動かす。モノはあくまで機械であり、人間が信号を送るまで沈黙している。そういう世の中でした。
これからは、モノが情報を所持し、インターネットを介してモノ同士が交流し、人間の信号を待たず自律して稼働する。たとえば、いまは湿気がすごいということを空調機が認識し、かつ部屋には人間がおり、またその人間は湿気を嫌っており、加えて空調機を使用するだけの財的余裕をもっている、こうした情報を空調機が予め知り得ることで、25度の除湿設定が自動で付加される。モノが自律する。これは大袈裟なたとえですが、「Google Home」を通じて人間語でテレビや照明や空調を制御する、といったことはすでに普通に行われており、スマートホームと呼ばれる新しい生活環境はすでに体感できるところまできています。

 

■ 5GとIoT (3)

ところで、IoTを社会へ実装するための仕掛けには、以下のような機能が必要と考えられます。
まず、モノがネットワークへ接続するための (無線) モジュール。また、折角なので、モノからはそのモノの所持する様々な情報を発信させたいから、情報を取得するセンサがあったら良いと思います。
モノへ通信モジュールが搭載されても、現在の通信環境は概ね人間が接続することを前提に仕組まれていますから、その何倍ものデバイスが接続しはじめたらパンクしてしまうかも知れません。このため、5Gの通信要件には「多数同時接続」が明記されました。
また、5Gが実装されたとき、IoTのポテンシャルとして遠隔でモノを制御するサービスが期待されます。これまで、現地に専門化がいなければ実行できなかったようなことでも、遠隔で行えるようになると、社会的な課題をいくつも解決できるかも知れません。
サービスの内容によっては、制御する際のタイムラグにシビアさが求められると思います。従来、人間の目と指先とのコネクションで行ってきたことを、専門化+通信とロボットで代行する。ロボットには正しく専門家の手足として動いてもらいたい。このことから「超低遅延」が明記されました。

以上のように、5GはIoTを実装するための技術、といって差し支えないかと思います。これまで、移動体通信端末がより便利になることを目指し進化してきた通信技術ですが、5Gではそこから脱し、社会全体を改革することを目標としています。このため、数年前にサービスインした「LTE」や「4G」と比べ、「5G」はより一般化された課題として世に浸透しはじめているように感じています。

 

■ MWC上海の風景

先ほど記載した、MWC上海出展社の構成は以下でした。
① 5Gが実装されたとき、身近に生まれるであろう新しいサービスのプロモーション。
② 5Gを構成するデバイス・部品群の展示。
③ IoT製品のプレゼンテーション。
④ 5GやIoTのパッケージ・ソリューション。

これもまた体感的な話ではありますが、出展社数の割合で言うと、①が全体の5%、②③で8割強、④が残り10%前後、といった感じであったかと思います。(ブースの専有面積で言うと、①が飛躍的に跳ね上がり、30-40%程度あったかと思います)

冒頭にて「中国を中心とするアジア市場をターゲット」と書きましたが、来場者の多くは中国の各地よりいらしたと思しき方々であり、中国市場の熱気を感じました。
また、MWCの本拠地であるスペインや、IT技術を先進する北欧・東欧地域からカザフスタン、マレーシアや台湾といったASEAN諸国、韓国なども、中小企業を集めたパビリオンなどを出しており、市場に対する注目度の高さがうかがわれました。(一方、日本企業のブースは殆どなく、アジアにおける日本の立ち位置の複雑さを想起しました)

以下、5G及びIoTのプレゼンテーションの場としての、MWC上海の風景を紹介します。


Telexistenceを想起させる、人の挙動を遅延なく模倣するロボットダンサー。(チャイナモバイル)


3Dカメラを用いた「ロボット画伯」。人物の肖像を、ゴッホ風、セザンヌ風、モネ風など描き分けるデモンストレーション。(チャイナテレコム)


Nokia上海ベルは、物流システムといったスマート工場関連の展示でした。中国の巨大な製造市場を改革する?


V2Xといった自動車関連の展示は、5G/IoT実装の1つの指標として誰しもがイメージし易いためか、注目度が高い。


ZTEの格好いいプレゼンテーション。


お手軽スマートホームセット。こうしたパッケージ・ソリューションの展示は多くみられました。


スマート街灯。街灯に様々なセンサーや通信モジュール、インターフェースを搭載させ、スマートシティを実現します。


当社が代理店を務めるVIAVI Solutionsも、5G実装のためのテスティングツールを展示していました。Leaders in 5G!

 

■ MWC上海の所感

今回の視察は、マーケティング担当の私と、エンジニアの阪本君、2名でまいりました。敷地内を自動車で移動するような広大な会場を行ったりきたりしつつ、夜は遅くまで開いている地元のごはん屋さんで、ビールをのみながらいろいろ話しました。
以下のようなことを感じました。

■5Gは、システムのアーキテクチャだけでなく、あらゆる要素技術の技術開発によって実現される。

■5G/IoTを目指し、様々な企業が、自分たちのやれることをやれることの範疇で、精いっぱい技術開発している。

■一方、「MWC」というイベントとしては、要素技術が要素技術のまま展示されているというか、「これが5Gだ」「IoTだ」といった技術的デモンストレーションが少なく、バラけ感を覚えた。
※「だれが」5Gをつくり上げるのか? (みんなでつくる? / サービスの実装待ち?)

これは、自分の置かれている立場にもよるものと思いますが、5Gの実装というと、これまでCloud RANとか、C-Plane/U-Plane分離とか、3層のデータセンターやMECとか、アーキテクチャの話をよく耳にしました。
今回痛感したことは、そうしたアーキテクチャを構成する各端末、回路、さらには端末をつなぐケーブル1本にも技術革新があり、これら全ての前進により要求仕様をクリアする、新しい世の中を現出するのだ、ということです。

これまで、移動体通信技術の革新は、通信事業者のマネジメントによって進められてきたと認識しています。一方、今回の展示会では、通信事業者のブースの多くはIoTをはじめとするサービスのプロモーションに注力しており、リーダーシップは取るものの、実装のゴールを明確に示すものではないように感じました。
私がスペインで実際にみた話ではないのですが、バルセロナのMWCでEricssonが行ったV2Xのデモンストレーションにおいて、スウェーデンにある大型トラックを100msの遅延で制御した。このとき、約2,500kmの伝送を含む5G回線での遅延は20msほどであり、多くは端末側での処理に時間を要していたとのことです。
5G/IoTの導入という社会的ミッションに対して、あらゆる企業の参加が求められている、それでは、自分たちは何を頑張ろう? そうした反省です。

 

■ おまけ:海外へ出かけるということ。

以下、もう1つの所感というか、MWC上海の話から離れてしまうのですが、今回の海外視察で私が感じたことを追記します。

上海渡航といえば、個人的には、高杉晋作と横光利一のことを思いだします。また、以下も私的な前提で恐縮ですが、ほぼ海外未経験であり、かつ行くモチベーションもなかったという人間の思ったこととなります。


※外灘の旧租界市街。


※外灘から望む浦東新区の高層ビル群。

中国は、とにかく「大きい!」――こう書くと、まるで幼児の素朴な歓声のようですが、これは建物も、道路も、区画も、何よりそこへ住む人間のその合理的な精神の充溢に、日本人である自分としては「大きい!」を感じました。
これまで、日本というか、自分の居住範囲へほぼ引きこもって生きてきた私はインターネットすらあまり得意ではなく、それでも、中国というと「中華思想」とか「自由奔放」とか、自然にそうした感じ方をしてきていました。
今回、上海を歩き、実感したこと。これはあくまで、ビジネスを前提とした内容かも知れませんが、中国を日本らしさの尺度で表現するのではなく、日本にはない個性や強さを持つ国/人として尊敬すること、また、これは中国に限らず恐らく全ての国に対して言えることですが、お互いの強みを持ち寄り、協働して社会的ミッションへ取り組むこと。こうした気持ちで交流できたら素敵だな、ということです。
これは同時に、日本人として、自分の個性をどう発揮すべきか、何に取り組むべきか、そうしたことを考えるということでもあります。もしかしたら、高杉晋作や横光利一といった日本人が、やはり近しい衝撃を受け、何かしらを日本へ持ち帰ったことと遠くない心情かも知れません。海外渡航は、想像していたよりだいぶ不便もなく、上海も再訪したいですし、もっと色々な国へ出かけてみたいと考えるようになりました。

 

■ おわりに

まるで、夏休みの読書感想文みたいな所感で終わってしまいましたが、MWC上海のレポートは以上となります。
とにかく、ADOCとしても、より一層5G/IoTに向け取り組んでいかねば! というお話でした。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。また次回、よろしくお願いします!

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