開発者が悩む!効率と品質の間

【レポート】「5G」 が古生代カンブリア紀を彷彿させる? そんな意見交換会とは!

2018.11.15

レポート

■はじめに

こんにちは。
つい先日まで台風がきたり、夏のように暑い日があったり、秋晴れという日も少なかったですが、そういうところが秋らしいというものだったかも知れません。
もう11月も半ばになりました。晩秋です。

先月の話となってしまいましたが、10月12日、当社も賛助会員として参加している「沖縄オープンラボラトリ」でイベントが開催されました。参加してまいりましたので、今回はそのご報告となります。


※開催場所である沖縄県立博物館・美術館

 

■「沖縄オープンラボラトリ」って?

その内容へ触れるまえに、まずは「沖縄オープンラボラトリ」についてご説明します。

一般社団法人沖縄オープンラボラトリ (以下、OOL) は、2013年、「次世代ICT基盤技術の実用化・普及」を目的に開設された研究機関です。
「ICT基盤」とは、インターネットとか、携帯電話とかのサービスを提供するインフラを指します。近年、スマートフォンの普及・多機能化の進む中、ICT基盤へ求められる強度や性能も飛躍的にハードルが上がっています。このハードルをクリアするための新しい技術が「次世代ICT基盤技術」です。

機材を沖縄へ持ち込み、先端技術に携わる企業が参集し、次世代ICT基盤技術の検証を行うこと。その成果を、OOL主催イベントや国際会議等で発表すること。これがOOLの主な活動内容となります。

2013年というと、

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2010年12月 ドコモが「Xi」のサービスを開始。
2012年09月 au・ソフトバンクがそれぞれ「4G LTE」のサービスを開始。
2012年11月 ドコモのLTEが下り最大100Mに増速。
2013年10月 UQコミュニケーションズが「WiMAX 2+」のサービスを開始。
2014年05月 auが「au 4G LTE CA」のサービスを開始。
2014年06月 ドコモが「VoLTE」のサービスを開始。
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前後ではこんな出来事があり、「第四世代」と呼ばれる技術の実装が盛りを迎えたころです。ですから、OOLは来る「第五世代」に向けた技術検証を行うところからはじまりました。
ここでキーワードとなったのが「クラウド」「自動化」です。
自動化技術では、「SDN」と呼ばれるソフトウェアによる制御技術の検証が中心となりました。当時、もうひとつの潮流としてあった「オープンソースソフトウェア」を活用するオープンなコミュニティ。そうした性格がここへ合わさり、OOLの母体が出来上がっています。

以後、開発したソフトウェアのオープンソース化、研究成果の企業へのフィードバック、ラボラトリを活用したICT基盤エンジニアの育成など、活動内容を拡げつつ、現在に至ります。

※「沖縄オープンラボラトリ」に関してはコチラ

 

■ アドックインターナショナルとOOL

2013年から、当社も賛助会員として参加し、OOLとの関わりも6年目となります。
「5G (第五世代)」と呼ばれる次世代ICT基盤へ関わっていくこと。また、先鋭的な企業の方々と交流する中で得られる知見や技術、パートナーシップを、サービスへ活かしながら、社会へ還元・貢献していければと考えています。

※当社のOOLでの活動はコチラ 記事1  /  記事2

 

■ 10月12日 意見交換会/フォーラム

それでは本題に入ります。10月12日、当日は雨が降ったりやんだり、あいにくの天気でした。
沖縄県立博物館・美術館の会議室を借りて、いちにち意見交換会/フォーラムが開催されました。

OOLでは、日々の研究活動のほかに、意見交換会やフォーラムといったイベントがほぼ月次で開催されます。
この日のアジェンダは以下でした。

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■ OOL下期研究方針の発表

■ プロジェクトの進捗報告
(1) OpenVNF Service Infrastructure プロジェクト
(2) IoTプラットフォーム・プロジェクト
(3) 5G・プロジェクト
(4) データベッド・プロジェクト

■ フォーラム
(1) 5Gについて
(2) IoTについて
(3) OpenSD-WANについて
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サービスインを2019年に控えた5G (*注) は、その用途も適用範囲も、これまでのものとだいぶ様相が異なるようです。いよいよドラえもんの世界が近づいたという感じのするサービスが、技術検証に載りはじめています。

今回のブログでは、当日行われたディスカッションの中でも、特に5GやIoTについての議論、また「デジタルトランスフォーメーション」という考え方についてご報告します。
OOLの意見交換会、技術とか、近未来といった雰囲気の一端をお伝えできればと思います。

*注:日本国内では2019年のサービスインが予定されていますが、すでに韓国では平昌五輪にてデモンストレーションが実施され、米国では2018年中のサービスインが予定されています。

 

■「5Gのユースケースを考える。」

2013年発足当初から、OOLでは「データを処理する/通信する」インフラの技術研究が主体でした。それがこの1、2年の間、より使用者側、また利用者側の観点を想定するユースケースの検討が増えてきました。

5Gのユースケースを考えるとき、切り口は3つあるとのことです。

たとえば、要素技術の “Edge” を例にとります。最初に考えなくてはいけないことは、
「 ”Edge” とは、どこを指すのか?」
という素朴な問いです。

5Gでは、従来よりもさらに大量のデータを扱うため、すべてのデータをコアネットワークまで上げることをせず、コアネットワークへ至るどこかの拠点 ( “Edge” ) で処理させる手法が重要な一要素となります。
ところが、”Edge” といっても、コンシューマへサービスを払い出す端末のことを指す人もいれば、端末が通信する無線機/CPEを指す人もおり、さらにはセントラルオフィス を“Edge” と考える人もいれば、データセンターの一部まで “Edge” の範疇に含める人もいるとのことです。

 

■ サービスの「カンブリア大爆発」

では、”Edge” って何の境界のことなのか?
「”Edge” があちこちにある」という困った状況に対して、思い出したことがあります。以前、OOLのイベントで議論された「カンブリア大爆発」の話です。現代の技術やサービスの姿を「大爆発」と比定する考え方でした。

「カンブリア大爆発」とは、古生代カンブリア紀、動物の種別が爆発的に増加し、いまへ至る種族構成を一挙に揃えた事象のことです。カンブリア大爆発が引き起こされた要因は、動物が「眼」を獲得したことである。そういう説があって、今後、様々な物へ取り付けられるセンサーが、カンブリア紀の「眼」に相当し、サービスのカンブリア大爆発が起きるという提言でした。

たとえば、”Edge” とは「サービスとインフラの境目」と考えることができます。これまで通信する機材でしかなかったネットワーク装置が、サービスとの接続点になるということです。
インフラを提供する通信事業者も、5Gのユースケースについては、多種多様なサービサーと連携する場をつくり、実地での研究が開始されています。5G活用に関して、NTTドコモがOOLと連携することもすでにプレスリリースされています。

たとえば、ドローンやAR/VRといったものが、どのように活用され、どういったサービスを生み出せるのか。情報がオープンになることで、どんなサービスが生まれるのか。
そんなディスカッションがありました。


※意見交換会/フォーラムの休憩風景

 

■「デジタルトランスフォーメーション」

OOLのディスカッションでは、この1年間ほど「デジタルトランスフォーメーション」(以下、DX) という言葉がよくきかれるようになりました。
DXとは、人の生活をITがより良い方向へ変革する。そういう概念のことです。言葉としては、割合に古い出展ですが、これがいよいよ目にみえるかたちで進行する時代に入ってきたといえます。

「IoT」という言葉は、それよりももっと人口に膾炙してきましたが、これは身の回りの物 (モノ) が、自律的に動きはじめる仕組みのことです。たとえば、冷蔵庫が家主の習慣と財布とを勘案し、明日不足するであろう牛乳を、適切な銘柄を指定して (勝手に) 取り寄せる。こうした事象を実現する仕組みのことかと理解しています。
IoTが浸透すると、それまで沈黙していたたくさんの物が、人々に有効であるよう振る舞いはじめます。この結果、人々の生活がより良い方向へ変革される、DXが起こる。こういう理屈になります。

ところで、IoTが浸透すると、一方ではこれまでと比べ物にならない量の端末がインターネットへアクセスし、相互に会話をしはじめます。これを可能にするインフラ技術が、5Gということになります。

 

■データ至上主義と「データベッド」

DXの燃料は、デジタル・データですが、物がインターネットへ届けるデータは、それ自体では価値がありません。一方で「価値とは情報 (=データ) から生みだされるもの」そういう時代でもあります。

物に付属したセンサーは、情報をデジタル化し、どしどし発信します。それから、情報は価値が引き出されるための何らかの仕組みへ投入されます。検索する、可視化する、そんな機能が必要となります。
大量のデータを保持し、活用する仕組みのことを、OOLでは「データベッド」と呼んでいます。
データベッド・プロジェクトからのプレゼンテーションでは、沖縄地場の交通系サービサーと連携し行われている実地検証について報告がありました。

開発・検証中ソフトウェアのデモンストレーションがありました。非常に鮮明な動きで、データからどういった価値が取り出されるのか、そんなことを実感できる体験でした。

 

■ 5Gと四次元ポケットと企業のサービス

こうしたユースケースが、5Gと連携すると何が起きるのでしょう?
5Gを支えるものは、たとえばONOS/CORDといった、仮想ネットワーク基盤を効率的に制御する技術であったり、FIWAREというオープンソースソフトウェアのIoTプラットフォームであったりします。
これらの要素技術が、「きちんと働くのか」「どのくらい働くのか」そういう検証からはじまって、「動いたとして、何を実現するのか?」「実現したいことに対して、どのくらい動くべきなのか?」そんなことを考えるところまできたということです。

今回の意見交換会/フォーラムでは、「いよいよ、5Gだ」そういう雰囲気を感じることができました。
それからこんなことを考えました。「何ができるのか?」といった帰納的な進み方と、「そもそも、何をしたかったのか?」といった演繹的な進み方とがさらに入り混じり、漸進的に一緒になるような社会がやってくる。ということです。
5Gは、ドラえもんの四次元ポケットから取り出される道具に対する憧れと同様のもの、コンシューマの身の回りに対するアイデアが、直ちに企業のサービスへ直結される社会をつくるのだと思います。
だから、「5Gのユースケースを考える」ことは、いまでは自分たちのサービスの価値を考えることと一緒のようでもあります。自分たちのサービスは、5Gとどう関わるのか? 変革が「意思決定プロセスの変更を伴う変化」を指すとしたら、自分たちは、どんな意思決定プロセスを変更し得るのか/したいのか。
こんなことを考えたり、意見交換したりすることは、これからの社会を能動的に生きる上で、企業としても、個人としても、きっと大事なことかと思います。
そんな一日でした。

 

■ おわりに。

意見交換会/フォーラムの後は、地元の居酒屋さんで懇親会がありました。様々な立場、技術をもつ人々が、企業や環境の垣根を越えて、同じテーマと雰囲気の中で行われる交流は毎回とても刺激になります。

今回は、OOLで開催された意見交換会/フォーラムのご報告でした。次回、またイベントに参加しましたら、ご紹介していきたいと思います。
それでは、皆さまの生活にもDXが起こりますように!

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