【体験記】最後のフロンティア!? ~ミャンマー 体験記~
2017.2. 1
「20年前の中国みたいだな~」
私は2016年10月~12月の3ヶ月間、弊社海外進出の事前調査を目的としてミャンマーで視察を行いました。上記のセリフは私が滞在中、ミャンマーに視察に来られた日本人の方と話した際の一言です。 日本では経済成長率の高さや賃金の安さからから最後のフロンティアとして多くの記事で注目の浴びている国かと思います。人口構成や消費者物価指数等の基礎データでは魅力のある国ですが、実際はどうなんでしょうか?多くの国民が民族衣装を纏いながらスマートフォンを操る不思議な国ミャンマー。今回、短い期間ですがミャンマーに滞在し触れた事を記載します。
ミャンマーは著しい経済発展とそれに追いついていない法制度とインフラ整備が共存する国です。
アウン・サン・スー・チー氏率いる国民民主連盟(NLD)の政権獲得後、アメリカからの経済制裁解除や日本からの8,000億円の経済支援等により、民主主義の推進と各国の投資活性化が期待されています。また、ヤンゴン市バスシステムの改善やヤンゴン市内の鉄道高速化等インフラ整備が急ピッチで行われており、日一日と発展しています。ミャンマー日本商工会議所(JCCM)によると日本商工会議所の会員数が2011年度までは50~70社程度でしたが、2012年度から増加傾向にあり2016年度9月末時点において、318社と今後も多くの日系企業の進出が見込まれています。また、2017年1月、マイクロソフトが一般法人向けアプリケーション「Office365」の販売を開始しクラウドサービスの展開も始まりました。急速な経済発展により、日系企業のみならず各国から注目の的となっている事が分かります。
その反面、インフラ整備が追いつかず、地方では無電地域があり、ヤンゴン市内では停電がよくあります。また、不十分な法整備や賃料の高さ等が日系企業の足かせとなっています。しかし、リスクを受入れながらも早期進出し、シェアの獲得が始まっています。
私が滞在していた時もコンドミニアムの建設が多くあり、ミャンマー人労働者の他にも中国人労働者を多く見ました。進出をする日系企業を多く見かける一方で、撤退を決めた日系企業も何度か見られました。
アウン・サン・スー・チー氏の外交活動を報じる現地新聞
ヤンゴン市内の停電修理を行っている様子
現地で動く電車
ミャンマー人は「現世(今)と来世」に意識を持つ人たちだと感じました。 彼らの信じる上座仏教の教えは現世で徳を積むことで、より良い来世を願います。 寄付の文化が色濃くあり、イギリスのチャリティ団体CAFが調査した2016年版の世界寄付指数ランキングでは1位です。多くの若い方々も信仰心を持ち、ミャンマーのシンボルでもあるシューダゴンパゴダ(仏塔)には毎日多くの人が訪れています。
私が滞在していた時も路上で寄付を募る方々へ寄付を行う風景を多く見かけました。自分自身、近親者、友人、仕事仲間に対しては多大な関心を持ち、より良い来世への期待を持ちながら生活する一方で、会社への帰属意識や社会情勢等の世の中に対する関心は薄いように感じます。現地スタッフが仕事を放棄して突然いなくなるということがよくあるそうです。
また、ビジネス面では今後どのようなサービスが伸びるかを検討し、需要を見越したビジネスをする意識が低いように感じます。私が現地会社の役員にお話を伺った際には「需要は政府が生み出す」と言ってました。その為か仕事の背景をイメージしながら働く事やストーリーを考えて提案を行う事が苦手なように感じます。
今回、ミャンマーに滞在し数多くの素晴らしい経験を得ることが出来ました。 現地でお会いした方々には感謝の念に堪えません。 各企業へのヒアリングやミャンマー人とのコミュニケーションで得た情報は基礎データ等の数値からでは得ることの出来ない貴重な情報でした。今回得た情報を元に弊社としてミャンマーへの貢献ができるビジネスを展開していきたいと考えております。
文:眞壁 和久